庵治石の加工工程

庵治石について

墓石などの製品は様々な工程を経て完成します。選び抜かれた原石がもつ魅力を最大限に引き出すため、丁寧な仕事が重ねられていくのです。

小割りされた原石を墓石の形に切断します。ダイヤモンドのついた刃を大きさによって使い分けます。庵治石特有の細い重ねキズ、色目ムラ、模様ムラなど、丁場では見分けられなかったキズもこの段階で確認します。

手動または自動研磨機で石を磨きます。庵治細目の場合は、磨きムラのない鏡のような輝きを生み出すため、時間をかけて入念に研磨して艶を出します。石の特性以上に風化に強く、耐久性のある庵治石を創りだすのに欠かせない工程のひとつです。

墓石の個性が出る細かい装飾の部分は職人の手によります。赤鉛筆で下書きし、左右上下の対称を差し金で測りはながら慎重に加工していきます。最後は、加工面を手で触って仕上がりチェック。蓮華の加工ができれば一人前といわれます。

ポリッシャーと呼ばれる道具を使い分け水を流しながら、手加工で出来上がった細かい部分や曲面を磨いていきます。機械研磨と同じ均一な光沢にするため、磨きムラを出さないように細心の注意を払います。

墓石に刻む文字や家紋は、お墓の顔ともいえる重要な部分。熟練の技をもった職人が一文字一文字丁寧に刻んでいきます。最近ではサンドブラストという機械による技法が浸透していますが、やはり下書きや微妙な機械操作には筆心が欠かせません。

破損などの最終点検を終えた墓石は墓地へと運ばれ、いよいよ施工へ。まずは土壌状況に合わせた基礎工事を行います。住宅の基礎と同じく、耐震面などこの段階の工事も重要。その後本体の据え付けを行って完成を迎えます。

施工を終えた墓石は竿石にサラシを巻いて開眼式を待ちます。一基のお墓ができるまでに約２ヶ月。庵治石の原石採掘から加工まで、随所で職人の技と魂が生きています。